書籍紹介 『図解でわかる キャラクターマーケティング』

『図解でわかる キャラクターマーケティング』
キャラクターマーケティングプロジェクト著
日本能率協会マネジメントセンター (2001)1600円


図解でわかるキャラクターマーケティング―これがキャラクター活用のマーケティング手法だ! (Series marketing)
図解でわかるキャラクターマーケティング―これがキャラクター活用のマーケティング手法だ! (Series marketing)
日本能率協会マネジメントセンター 2001-12
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マーケティング用語に「コモディティ」という概念がある。
ある種類の商品が「コモディティ化する」といえば、普通、商品のある種類(たとえば「牛乳」など)内で、商品そのものの属性が消費者の選択にあまり影響を与えなくなった状態のことを言う。平たく言えばある種内の商品らが「どんぐりの背比べ」状態になってしまうことである。例としては鉛筆、ティシュペーパー、コピー用紙、などが挙げられる。

「コモディティ化」してしまった商品が競合関係にある他の商品との差別化を行うためにどういう手段があるか。
方法はいろいろある。一つの方法はその商品の「ブランド化」だろう。
そしてこの「ブランド化」の一類型として「シンボル・キャラクターを商品に付加する」というものがある。このとき、商品とキャラクターの結びつきが強くほぼ一体化したものを「キャラクター商品」などといわれることになる。

普通、「商品」というものは「顔」がない。
もう少しわかりやすく言えば、普通商品は「キャラ」を持っていない。
たとえば普段スーパーなどで買う人参やら大根やら秋刀魚に何か人格的なものを意識するだろうか。
人参は人参だし、大根は大根だし、秋刀魚は秋刀魚だし、買い物籠は買い物籠だ。

商品にキャラクターを付与させるとは商品に「顔」を持たせることである。
商品にシンボル・キャラクターを付与することによって「(消費者にとって好ましい)顔」を与え、その「顔」となったキャラクターを通して消費者に商品を強く印象付け記憶に植えつける。
その結果、消費者は商品を選ぶ際に「知らないもの(≒忘れてしまったもの)」より、以前にキャラクターを通して深く記憶に刻まれた「知っていたもの」のほうを高い確率で選択するだろう……というのが企業側の意図だ。

キャラクターはシンボルマークなどに比べて「人格的なもの」を強く連想させる。
そのため「親しみやすさ」が強い反面、非常に取り扱いが難しい。ちょっとした印象の違和感でも見る人に強いある種の不快感・興ざめ感を与えてしまうからだ。

この書はそのような「キャラクター」の取り扱い方を詳しく解説してくれる。
(本の趣旨はどちらかといえば「キャラクター」という知的生産物による戦略的な商品展開に関することがメインだが。)


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書籍紹介 『ウェブログの心理学』

『ウェブログの心理学』
山下清美・川浦康至・川上善郎・三浦麻子 著
NTT出版(2005) 2200円


ウェブログの心理学
ウェブログの心理学
NTT出版 2005-03
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star非常にフィットした研究に共感
star数年後に読み返しても価値の減じない本
star絶好の時期に出版された、気鋭の社会心理学者によるSNS、ブログの研究・解説本

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「なぜウェブログ(≒Web日記)を書くのか」を社会心理学の側面から分析した本、というのがどうやらこの書の最初のコンセプトだったようだが、実際は現在のブログブーム(さらにはmixiなどのSNS, Twitter)に通じる日本のインターネット・コミュニケーションを「Web日記」という視点から分析した著になっている。
米国から導入されて一気に広まったように見えるウェブログだが、実際はその下地になる文化的蓄積が日本のインターネット創世期から存在した「Web日記」からその後の「レンタル日記」「アンテナ」というコンセプトに存在していた、というのが著者達の主張である。


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書籍紹介 『文章読本』 (著:谷崎潤一郎)

『文章読本』
 谷崎潤一郎
 中央公論新社(1996) 600円


文章読本 (中公文庫)
文章読本 (中公文庫) 谷崎 潤一郎

中央公論社 1996-02
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star反語的で逆説的な文章読本
star確かに文章読本。しかし
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 世に出たのが昭和9年なので、今から70年以上昔にかかれた日本語文章の書き方本である。
 美文の書き手と呼ばれた谷崎の文章の作法が作者自身によって語られる。

 谷崎に言わせれば文章には以下の側面があるという。

 ・用語 …… 単語の選択。
 ・調子 …… 文章のリズム。
 ・文体 …… 表記のスタイル。講義体・兵語体・口上体・会話体
 ・体裁 …… 活字などを使用した文字組のヴィジュアル。
 ・品格 …… 文章の品位。
 ・含蓄 …… 日本語による「ほのめかし」の作法。

 ではこれらを踏まえた上での谷崎にとっての「よい文章」とは何か?

 「しかしながら、文章のよしあしは『曰く云い難し』でありまして、唯今も述べましたように理窟を超越したものでありますから、読者自身が感覚を以て感じ分けるより外、他から教えようがないのであります」(p83)

 そう。この書においての谷崎の主張は基本的に「ほのめかし」スタイルで記述される。
 理解よりも体得を目指すというのはいかにもアジア的というか。

 とは言っても、このような谷崎の記述が文章をうまくなりたくて頑張っている人には非常に実践的に感じるのだから不思議だ。


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