書籍紹介 『脳の右側で描け』

『脳の右側で描け』
 B・エドワーズ著
 エルテ出版 (2002)2310円

脳の右側で描け
脳の右側で描け Betty Edwards

エルテ出版 2002-02
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おすすめ平均 star
starデッサンを上達させるためには一番必要な本です
star機械的な転写がうまくなる本
starイライラするだけの、トンデモ本

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 題名だけ見ると巷に良くある「右脳なんとか」という本の一種のように思われるかもしれない。
 (いわゆる「右脳左脳理論」は多くの実証的研究により疑問視されている。)
 しかし、中身は丁寧・明確に絵(デッサン中心)の「描き方(≒考え方)」を教えてくれる本である。
 またこの本には解説だけでなく課題も載っている。米国産の技法書はこういうスタイルのものが多いそうだ。

 現在出版されているデッサンの技法書は、色々のテクニックを解説することが主で、読んでいる時は「描けるかも」と思えてくるが、 実際にデッサンをしてみると「?……なんか違う」と違和感を覚え、 その違和感が「やっぱり自分は根本的に絵が描けないのでは?」という限りなく確信に近い疑念となり、やるせない気持ちで黄昏る空を見上げることになるものがほとんどだ。

 著者はこのような「絵を描くことに対する無能感」の原因は学校における美術教育が間違っていることにあるとする。
 (著者は米国人だから米国の美術教育を念頭においているのだろう)
 別の言い方をすれば「絵を描くこと」に対する「考え方・イメージ」が間違った形で初期のうちに固まってしまったことが、「絵を描くことへのアレルギー」を生み出してしまうのだということになる。

 そういう意識から書かれたこの書は、テクニックよりもまず先に間違った形で固まった「絵を描くことに対する考え方」を文章と課題を消化することで得られる実体験を通して解きほぐそうとする。


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書籍紹介 『でかいプレゼン』

『でかいプレゼン』
高橋 征義著
ソフトバンククリエイティブ (2005)1200円


でかいプレゼン 高橋メソッドの本
でかいプレゼン 高橋メソッドの本
ソフトバンク クリエイティブ 2005-11-29
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おすすめ平均 star
star内容が薄すぎです、、、
star少々割高感が
starおもわず使いたくなるプレゼン手法

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ネットでのブームがネット外へ広がることはもはや珍しいものではない。
この本もそのような形で世に出たものだ。

2005年の4月頃、ネットで一つのブームが起こった。
そのブームとは「高橋メソッド」といわれるインパクトのあるプレゼン手法をめぐってのものだった。
そしてその年の12月、こうして本になった。

「高橋メソッド」とは一言で言うと

スクリーンなどの大きな画面に、
画面いっぱいに表示された文字を
テンポよく切り替えながら
リズムよくプレゼンする方法

である。

実際見てみれば判るが
本当に笑ってしまうほどのインパクトと妙な説得力を持つプレゼン手法である。


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書籍紹介 『ナレッジマネジメント入門』

『ナレッジマネジメント入門』
紺野登? 著
日本経済新聞社 (2002)1000円


ナレッジマネジメント入門 (日経文庫)
ナレッジマネジメント入門 (日経文庫)
日本経済新聞社 2002-06
売り上げランキング : 200211

おすすめ平均 star
starGOODな入門書
starキーワード集として最適
star一冊目の本としてはとっつきやすい

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「ナレッジマネジメント」という言葉がある。
平たく言ってしまえば「組織内にある『知識』を経済的利益になるように管理活用する方法」となる。
キーワードは「形式知」「暗黙知」「場」、そしてもろもろのカタカナ語である。

「形式知」「暗黙知」は知識の二つの側面を指し、意識的な知と無意識的な知のことを言う。
「無意識」といってもフロイト的なもののことではない。

簡単に言ってしまうと、

「形式知」とは明文化された知識、いうなれば(広い意味での)マニュアル化された知識のことであり、
「暗黙知」とは「身についた」知識、いうなれば(広い意味での)当人にも使用していることに気づかず使っている「クセになった」知識のこと

である。

ますます判りにくくなったかもしれないが、「形式知」「暗黙知」という用語のネタ元であるマイケル・ポランニーの著『暗黙知の次元』では、

「暗黙知」の実例として

最初乗れなかった自転車に乗れてしまう際に身につく知識(自転車を運転する人はバランスがどうのとかは考えていない。)
医者がレントゲン写真から病巣を見つける際に使用する知識。(素人が見てもレントゲン写真が何を表しているのか判らないが、訓練された医者は自然とその箇所を指摘できる)

が挙げられている。

それでも判らない人のために、より身近な例を挙げれば
パソコンのキーボードを叩く時、どこにどのキーがあるか考えることなく打っているだろう。
そのとき使用している「どこにどのキーがあるか」という知識が「暗黙知」なのである。
そんなもんが知識になるんかいな?と思われるかもしれないが、原則を守るならばそれは「暗黙知」である。

もっとも、「ナレッジマネジメント」で扱う「暗黙知」は組織内で経済的利益に結びつく知識であるが。

ナレッジマネジメントはその方針として

「暗黙知」を「形式知」に転換することで組織内での知識共有を簡便化したり、
「暗黙知」の持ち主をそれを必要としているところへ効率よく移動させたり、
「形式知」から「暗黙知」への再転換(平たく言えば「形式知」を知った人がその知識を「身につける」こと)がスムーズにいくようにしたり、
知識を持つもの同士が集まる「場」(≒集まりの雰囲気)を知識創発に適したように整備したり、
組織内のいわゆる知的財産が最大限のパフォーマンスを発揮できるようマネジメントを行ったり、
その他もろもろのことを行おうとする。

その「もろもろ」のことがこの書には「2ページに1方針」という割合で書かれている。
ナレッジマネジメントを詳しく理解するには適さないが、概略をざっと見るにはちょうど良い書かと。


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