『国語教師が知っておきたい 日本語文法』
山田 敏弘著 くろしお出版 (2004)1600円
国語教師が知っておきたい日本語文法 | |
![]() |
山田 敏弘
くろしお出版 2004-09 おすすめ平均 |
公の場において、何かしらの文章を書いたり話をしなければならない時、
「自分の日本語はこれでいいのか」と頭を抱えてしまうことがあるだろう。
特にネット時代、ブログとか掲示板などで文章をパブリックに晒す機会が多くなると、
このような悩みを持つ人がますます増えるのではないだろうか。
そういう悩みに対しての少し強めの処方薬がこの書だ。
「理想的な例文」を列挙した巷溢れるHow? to本的なものとはこの本は一線を画す。
ひたすら、これまでの「日本語学」や外国人への日本語教育の実践などから培われた、実際的な日本語文法が詳細かつコンパクトに纏められている。
(同時に国語教科書に載っている文法に対する疑問も投げかけている。)
今まで「言葉のニュアンス」と感覚的に捉えていたものが、文法論理に則して明確に語られる様はある種の清々しささえ感じさせる。
著者が最後で述べているように言葉は生きており、変化する。
薬が量を過ぎれば毒となるように、あまりにもガチガチに文法を守ることは語本来の目的であるコミュニケーションに支障をきたすだろう。
しかし適切な使用範囲であるならば、その効用はさまざまな利をもたらすはずである。それを逃す手はない。