『人の心を動かす文章術』
樋口裕一著
草思社(2004) 1400円
「エッセイ風の文章を書く」ためのコツが詰まったよく出来た本です。
内容は以下の通り。
■1■ 文章を書くのはテクニック
・「私は、文章を書くには、いくつかのテクニックを身につけるだけで十分だと考えている。」(p31 l15)
■2■ 人と違った文章が面白い
・「文章を書くうえでは、悪しき心を示しながらも、それに共感してもらうことが大切だ」(p44 l11)
・「まず、みんながどう考えるかを想定して、それを否定できないかを考えてみる。いいかえれば、ひねくれて世の中を見てみるということだ。」(p44 l16)
・「したがって、みんなに賛成されるようなことをはじめから書こうとするべきではない。極論すれば、はじめから敵を決めて、そうした人々を怒らせるようなことを書くのも、ひとつの方法だ。」(p46 l15)
・「何かを書くとき、全部を書こうと思わないことも、大事な点だ。」(p47 l8)
・「人とちがった文章を書くには、自分の立場を明確にすることも大切だ。」(p48 l2)
■3■ 文章の「型」をうまく利用する
以下のように分けて書くとうまくいく。
第1部 予告
・書こうとする出来事の「きっかけ」や「予告」を書く。
第2部 エピソード
・出来事を具体的に語る。
第3部 展開
・第二部で書いた内容から得た印象や感想を書く。
第4部 まとめ
・全体のまとめ。
・「書き始める前にメモを取っておくことをお勧めする」(p60 l12)
■4■ 書き出しで読み手を引きつける
書き出しがよければ「読み手の目」も「書き手の筆」も調子よく先へ進めることができる。
以下のようなテクニックがある。
・擬音ではじめる。
・会話ではじめる。
・動きのある行為からはじめる。
・ちょっとアブノーマルな状況からはじめる。
・ほのめかす。
・逆説からはじめる。
・気のきいた格言や人生訓からはじめる。
・オーソドックスに状況説明からはじめる。
■5■ リアリティをどう作るか
・具体的に描写する。
・現在形を使う。
・ほかの人には気づかないこまかいところに目をつける。
・全てを語るのではなく読み手に発見させる。
・動きを描写する。
・会話体を使う。
・文中に自己反省を加える。
・「遊び」を入れる。
・省略できるところは思いきって省略する。
・誇張する。
・「悪い心」を書き加える。
・口語体を使用する。
■6■ 描写したり、形容する楽しさ
・手垢にまみれた修飾語は使わない。
・重ね言葉(てくてく、まるまるetc)を使用する。
・漢字ではなく「ひらがな」系の修飾語を使ってみる。
・比喩を考えて用いる。
■7■ リズムのいい文体、メリハリのある文体
・長い文と短い文を使い分ける。
・倒置や対句を用いる。
・遠景と近景を使い分ける。
・漢字とカタカナとのバランスを考える。
・文中に口語体を挿入する。
■8■ ドラマを真似して盛り上げる
・文章に色調をもたせる。
■9■ 主題を絞り込む
「とりあえず、書きたいことを書いているうちに、主題が必要になってくる。そこで、とりあえずの主題を作るのでもよい。」(p196 l15)
■10■ 推敲する
・読み手の気持ちになって推敲する。