『ディズニーが教えるお客様を感動させる最高の方法』
ディズニー・インスティチュート著
月沢李歌子訳
日本経済新聞社(2005) 1400円
ディズニーが教える お客様を感動させる最高の方法 | |
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月沢 李歌子
日本経済新聞社 2005-11-23 おすすめ平均 |
ディズニーランドは「夢の王国」を実現することに全力を注いでいる。
利用客を「ゲスト」と呼び、従業員を「キャスト」と呼び、建物・設備を「セット」と呼ぶディズニー独特の経営思想の中で「サービス」とはどのように考えられているのだろうか。
「マジック」(≒感動を引き起こす状況や行動を含む多面的概念)がディズニーのサービスの原則である。
そしてこの「マジック」を極めて効果的に成立させるためにさまざまな仕組みがディズニーには用意されている。
良いサービスを行うことは利用客に「感動」を与えることにつながる。だから利用客をよりよく知ることは重要である。
利用客は外見的な特徴でも分析される。また心理的な側面においても分析される。
心理は「ニーズ(要求)」、「ウォンツ(欲求)」、「ステレオタイプ(先入観)」、「エモーション(感情)」のマトリックスを使用して分析される。
もちろんこのような利用客の分析はサービスを行う上での最初の一歩でしかない。
迎える側の従業員や設備は利用客に対してどのようなアプローチを行うべきか、を考えなくてはならない。
この場合、重要なのは従業員と設備は独立的に扱うのではなく、同等な夢の奉仕者(キャラクター)として考えることが重要なのである。
それぞれが別々の方向を志向しては駄目で、統一された印象を利用客に与えなければならない。夢の世界に隙間風を吹かせてはいけないのだ。
本の後半になると従業員・設備側の利用者のサービス経験向上のための具体的なアプローチ方法が記述のメインとなる。
またこのようなディズニー・メソッドを消化した他企業での応用の事例なども掲載されている。
確かに、ディズニーにはこの本では書かれていない・意識されていない膨大なノウハウがまだまだあることだろう。
しかし高い顧客満足度を誇るディズニーのサービステクニックを垣間見れるだけでも十分満足できる書だといえる。