『ナレッジマネジメント入門』
紺野登? 著
日本経済新聞社 (2002)1000円
「ナレッジマネジメント」という言葉がある。
平たく言ってしまえば「組織内にある『知識』を経済的利益になるように管理活用する方法」となる。
キーワードは「形式知」「暗黙知」「場」、そしてもろもろのカタカナ語である。
「形式知」「暗黙知」は知識の二つの側面を指し、意識的な知と無意識的な知のことを言う。
「無意識」といってもフロイト的なもののことではない。
簡単に言ってしまうと、
「形式知」とは明文化された知識、いうなれば(広い意味での)マニュアル化された知識のことであり、
「暗黙知」とは「身についた」知識、いうなれば(広い意味での)当人にも使用していることに気づかず使っている「クセになった」知識のこと
である。
ますます判りにくくなったかもしれないが、「形式知」「暗黙知」という用語のネタ元であるマイケル・ポランニーの著『暗黙知の次元』では、
「暗黙知」の実例として
最初乗れなかった自転車に乗れてしまう際に身につく知識(自転車を運転する人はバランスがどうのとかは考えていない。)
医者がレントゲン写真から病巣を見つける際に使用する知識。(素人が見てもレントゲン写真が何を表しているのか判らないが、訓練された医者は自然とその箇所を指摘できる)
が挙げられている。
それでも判らない人のために、より身近な例を挙げれば
パソコンのキーボードを叩く時、どこにどのキーがあるか考えることなく打っているだろう。
そのとき使用している「どこにどのキーがあるか」という知識が「暗黙知」なのである。
そんなもんが知識になるんかいな?と思われるかもしれないが、原則を守るならばそれは「暗黙知」である。
もっとも、「ナレッジマネジメント」で扱う「暗黙知」は組織内で経済的利益に結びつく知識であるが。
ナレッジマネジメントはその方針として
「暗黙知」を「形式知」に転換することで組織内での知識共有を簡便化したり、
「暗黙知」の持ち主をそれを必要としているところへ効率よく移動させたり、
「形式知」から「暗黙知」への再転換(平たく言えば「形式知」を知った人がその知識を「身につける」こと)がスムーズにいくようにしたり、
知識を持つもの同士が集まる「場」(≒集まりの雰囲気)を知識創発に適したように整備したり、
組織内のいわゆる知的財産が最大限のパフォーマンスを発揮できるようマネジメントを行ったり、
その他もろもろのことを行おうとする。
その「もろもろ」のことがこの書には「2ページに1方針」という割合で書かれている。
ナレッジマネジメントを詳しく理解するには適さないが、概略をざっと見るにはちょうど良い書かと。
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